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APSMET設立の趣旨

　新型コロナ対策としての中小企業再生支援協議会による特例リスケや政府系金融機関によるコロナ緊急融資等により中小企業は急場を凌いではいるものの、コロナ終息後の本格再生に向けた具体的な絵姿は見えてはいない状況にある。

　とはいえ、過去20年に亘る中小企業の事業再生の経験を踏まえると、何より事業者自らの覚悟と努力そして金融機関としての「雇用の維持」や「連鎖倒産の防止」といった地域経済への影響まで考慮した「広義の経済合理性」を重要な判断基準とする「私的整理」が有効であることは明白である。

　しかし、私的整理には弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等の士業だけでなく民間のコンサルタントなども含めた総合力が必要となるが、現状に目を向けると、残念ながら中小企業の私的整理においてこのような専門家を結び付ける仕組みが出来上がっているとはいえない。事業再生には豊富な実務経験とノウハウが不可欠であり、異なる専門分野を「横につなげる仕組み」だけではなく、ベテラン、中堅、若手といった世代間を「縦につなげる仕組み」の整備も必要である。

　APSMETは、準則型私的整理手続に関する知識と経験が豊富な専門家や金融機関が集う場を作ることにより、この「縦と横をつなげる仕組み」を具現化し、新たな時代をリードする中小企業の私的整理の在り方を模索することを目的としている。そして、この目的を実現するために、専門家からの相談のみならず、事業者、債権者からの相談に丁寧に対応することをモットーとし、会員同士の小さな交流の機会を作ることから始めたい。

　なお、APSMETは時代の変化に適応し、中小企業・小規模事業者の再生と廃業だけに止まらず、平時における予防の仕組みを構築したいという思いを、「私的再建」という言葉に託したつもりである。APSMETは、このような活動を通して中小企業・小規模事業者が元気に活躍する日本経済の実現を目指して設立したものである。